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鞄の中身 かばん の なかみ : 出かける時は、どうも手ぶらじゃダメ…そんな私の鞄には…?

山のあなたの・・

写真を撮る際、晴とか雨などと天候がハッキリしている方が、何かにつけ“やり易い”ものです。しかし、本来の日本的なモノというものには、雨はともかく、クッキリとした晴という条件は、実は適していないことが多いものだというのは、京都などを訪れ、街並みや寺社に身を置くだけで分るでしょう。まさに“ドンシャリ”とは全く逆の状況といえるのではないでしょうか。

昨日からの雨は上っていますが、今朝からの神戸は、まさにそんなどんよりとした天候でした。やっぱり神戸は京都とは些か勝手が違い、そんな具合では、朝からあまりカメラを持って出ていくような気分になれません。



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E-330/ Zuiko180mm F2.0 + Teleconverter1.4×A

「ま、散歩だけでも・・」と部屋からマンションの廊下へ出て−−大抵の場合、いわゆる六甲颪というのを感じるのですが−−思わず北の方を見遣ると、六甲山が霧によって切れ切れになり、とてもいい按配です。霧は緩やかに流れています。
以前に少し書きましたが、ただのボロでしかないのに、私の住んでいるマンションからは、なかなかいい具合に六甲山の立上がりが見られるのです。これがとても気に入っているのですが、山といっても、当然送電線が張られていて、やたらそれが気になりカメラを向ける気にはあまりなれないのです。ところが霧がかかっていると、全体に像のシャープさが欠けていることも相俟って、送電線も鉄塔もある意味いいアクセントに感じられます。
山のあなたの・・_e0101258_1675111.jpg
E-330/ Zuiko180mm F2.0 + Teleconverter1.4×A

「よし」と、急遽散歩は取り止め、よほどのことがないと持ち出す気にすらなれない“宝の持ち腐れ”、<Zuiko180mmF2.0>と<テレコンバーター1.4×-A>を防湿庫から引っ張り出しました。そして、一緒に出掛ける筈だった<E-1>を<E-330>にチェンジです。こんなに重いモノは、もう付けたらそのままにしたかったので、最初からテレコンバーター装着の状態で臨むことにしました。これで凡そ換算500mm。かなりの望遠になりますが、それよりもスゴイのはF2.8という明るさです。これなら手持で・・と意気込んだものの、実際にファインダーを覗くと、ブレ以前の問題というくらいの揺れが見て取れます。レンズについている太いストラップを首にかけ、<E-330>本体のストラップはフリーにした状態で、ライブビューを覗く訳ですが、踊場の手摺りにカメラを預けるようにしていても、揺れる、揺れる・・10倍の拡大なんてするとすぐにターゲットを見失うばかりか、なんだか酔いそうになってきます。
山のあなたの・・_e0101258_1695323.jpg
E-330/ Zuiko180mm F2.0 + Teleconverter1.4×A

山のあなたの・・_e0101258_16102442.jpg
E-330/ Zuiko180mm F2.0 + Teleconverter1.4×A

約30分、自分としては異例の50カットほどを撮りました。カラーで撮ったモノをモノクロにするという行為には、私自身は興味がないのですが、殆どモノクロの世界になりました。にわか仕立ではありますが、しばし村上華岳画伯を気取って愉しむことが出来ました。
撮影が一段落して、折角持ち出したのだから、近所でも覗いてやろうかなんて考えていたのですが、そんな元気はなくなっていました。部屋に帰ってからブレやピントをチェックして、余計にウンザリして・・

しかし、細かな比較をおいて考えれば、先だって日本でも発表なった<OLYMPUS SP-550UZ>という機種は、こんな世界が当り前に付いてくる訳ですね。それもブレ補正付(どれだけ効果があるかは分りませんが)とは。色々考えさせられずにはいられないことではあります。
「キチガイに刃物」ということばもあります。当り前にこういう視覚が転がっているというのは、果してどうなのか・・いや、私は決して「疲れずに覗きが出来そうだ」と自身が想ったことをいっているのではありません。
山のあなたの・・_e0101258_1611196.jpg
E-330/ Zuiko180mm F2.0 + Teleconverter1.4×A

Commented by jiseir at 2007-02-18 17:38
東山の山水のような趣。
関東にはこれがないのです。
強いて言えば、鎌倉あたりの谷津や切通にこんな風情の日があるようですが、少し違っています。いい画を拝見できて嬉しいです。
私も135や180の旧いレンズを持っていますが、全然使っていません。
ご存知の通り、極端に偏りのある写向ゆえ、長いレンズは蔵入りのまま。
本日の掲画のような風景が目の前に現れれば。。。きっと長い奴を慌てて持ち出すかも・・・しれません。(笑)
Commented by yy2828yy at 2007-02-18 20:27
jiseiさん、
なんだか、ヘターっと疲れてしまいました。
春のせいだと想うのですが、使い慣れないモノを無理して使ったから・・
なんて情けないことが原因だったらどうしよう?

でも、ほんとうはこんな撮り方はフェアじゃないという気がして仕方がないのです。
対象は平素の自分の視覚や感覚を超えたところにあるものですからね。
かのハリー・キャラハン刑事も、象でも仕留めるとかいうライフルで犯人を待伏せした時はしくじりました。
Commented by datian at 2007-02-18 21:56
こんばんは。
先週の土曜日に同じような風景を私も撮っておりました。
レンズは105ミリF2.8のみしかなくあえなく沈没しました。
こうした場面で鉄塔と電線があるとドラマチックになって
くるのだなとこちらの写真をみていて新発見しております。
OLYMPUS SP-550UZは興味津々です。はやくサンプル
画像と実機を見たいです。
Commented by chinpike at 2007-02-18 21:58
こういう光景を見るたびに撮ってみたいと思うものの
いまだ撮らずです。
たぶんなんじゃこりゃぁ、って写真になりそうだから。
確かに日本的な曖昧さはこんな天気だからこそ表現
されるのでしょうね。
はっきりしない部分を、見る人が埋める。
そんな写真がすきです。
Commented by yy2828yy at 2007-02-18 22:12
datianさん、ようこそ。
文中では電線等を悪のように書いていますが、ほんとうの自然というものには却って疎いので、あってくれた方が落ち着くようなところがあります。
異常なズーム比に、何だか品のなさを感じてしまう<SP-550UZ>ですが、
一眼に明るい単焦点が出なければ、大して変らないかも?
カメラの質感、操作感がよければ・・などと想ってしまうのは確かです。
Commented by yy2828yy at 2007-02-18 22:18
chinpikeさん、
どうですか、お加減は・・無理なさってませんか?

私も初体験みたいなもので、何とも変な感じです。
仰るとおり、なんじゃぁこりゃあ・・かも知れません。
自分で一番気に入っているのが、真ん中。
最も、朦朧として訳が分らないヤツです。
播州から中国地方の山々に是非トライしてみてください。
Commented by y_and_r_d at 2007-02-18 22:45
鉄塔がこんなに絵になるものだとは思いませんでしたね。
これを村上華岳画伯が見たら
間違いなく鉄塔を描いていることでしょう。
Commented by yy2828yy at 2007-02-18 22:59
y_and_r_dさん、
最早、大抵の山に同様の鉄塔は見られる訳ですが、
ヒトというモノがこの世の津々浦々まで進出しているという、
まさに証といえるものでしょう。
そこまでになってしまったヒトと、
人の拵え出したモノが引き起すヒトの傲慢を嫌いながらも、
そんな人工物を自然の中で見ると安堵をし、愛着してしまうという、
自分でも度し難い矛盾を抱えているというのが、また悩みのタネであります。
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by yy2828yy | 2007-02-18 16:16 | "Pond of Sighs" | Comments(8)