鞄の中身 かばん の なかみ : 出かける時は、どうも手ぶらじゃダメ…そんな私の鞄には…?

夏休み企画「OM 修理に挑戦」第2回 〜巻上げレバー指受化粧板〜

さて、今回は問題の巻上げレバー化粧板の話ですが、
1 どうやって外すのか=前回の方法では外れなかった場合の方策です。
2 もし、傷めてしまったら=無事に外れたとしても、オリジナルな状態との比較をすると気になる場合があります・・
3 なんで、こんな細かなことを気にしないとならないか=本来論です。少し脇道に逸れるといえば逸れるのですが・・
の順に示しておこうと思います。



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今回の主役。正常だとこんな具合に綺麗です

ところで、そもそも、この「化粧板」とは何なのか?
前回の「軍艦部カバー外し」までの道程では、よく分らない方もいらっしゃると思うので、少し詳しく書いておくことにします。
詰まるところは「飾り」なのです。
巻上げレバーと本体巻上げ軸を固定するためのカニ目付ネジ(レリーズ時の指受けになる)を化粧するためのカバーで、機能的な意味はないと思われます。
直径14mm、厚さ0.3mm程度のアルミに黒のつや消し(N付=<OM-1><OM-2>の場合は光沢黒です)塗装がなされているだけの文字通りの「化粧板」が、前述カニ目付ネジの頭に接着剤で固定されているのですが、下にあるカニ目と同じように孔が開けられているため、OM軍艦部を外そうとした先人たちは、これ自体がネジ本体のカニ目だと勘違いをしたようです。
確かに一見するとこのカバーそのものが下のネジと一体化しているものと錯覚をしてしまいがちです。

巻上げレバーを外す際、当然、これにはどいて貰わないとならないのですが、なかなか難儀で、多くのシロート修理人を悩ませるのです。
また、化粧板だけが外れてくれる場合、固着したまま下のネジごと外れる場合と、個体によって区々です。
外す際は、勢い、孔にプライヤーのようなモノを差し込んでこじ開けようとしたくなるのですが、滑って傷をつける危険性はかなり高いといわざるを得ません。
逆にいえば、下のカニ目にすり傷が付いても隠すという役割もあるのでしょうね。
また、「無暗にシロートが開けないように」との設計者の意図であるともいわれています。
考えてみれば「すんなりと外れない」はこっちの論理であり、アクセスしにくくするためにも付けられているモノが簡単に外れては困りますよね。

本来、OLYMPUSのサービスの方にとっては、これは消耗品であり、修理の際には遠慮なく剥ぎ取って新しいモノに換えていたのではないかと思います。
ただ今となっては、生産が完了し、部品も底を付きかけている「修理保証外」のカメラのモノだということであり、「ダメにするともう代りがない」からこそ気を遣うわけです。


1 どうやって外すのか
そのため、比較的安全な前回での外し方をまずご紹介したわけです。
ただ、前回の方法では、3分の1程度の個体は(各人の根気の問題もありましょうが)お手上げ状態に陥ってしまいます。
今回の表題1は、その際どうするのか・・であり、いわばレベル3の紹介となりますが、多くを語らずとも画像をご覧いただけばお分かりいただけるでしょう。
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「ホットシュー固定用ビス化粧ネジ」の応用です・・

滑った工具の先が化粧板を傷付けてしまうのは、ほんの一瞬であり、養生なしの状態では「アッ」と思った瞬間が即ちアウトということになりがちですが、画像のように養生をしていると、「アッ」思った瞬間に止めれば、まずは救われます。
これが大事なのであり、決して楽に作業が進むことを意味するものではないことはご承知ください。
養生の際に留意すべきは、なるべくガムテープがネジ部分にだけにくっつくようにすることです。
周囲も一緒にガムテープで密着してしまうと、当然ながらネジ部が回り難くなるからです。
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少し傷が・・といえなくもありません。

私の場合、この方法でネジが緩まなかったことはありません。
しかし、僅かに化粧板の孔は傷みます。
尤も、このせいで傷んだのか、それまでに竹ひごでネチネチしている間に傷めたのかは不明ですが、なにせ素材は華奢なアルミですから、できる限り回数と時間をかけたくないものです。


2 もし、傷めてしまったら
養生をした上で、気を付けてやれば、かなり失敗は防げます。
しかし、所詮人のすること。
また間に合わせの工具を使っていては、稀に「暴発」も起ころうというものです。
そこで、万が一、レベル3で化粧板を損傷してしまった場合の策を紹介するのが、この表題2です。
結論からいうと、折れ曲ったり皺が入ってしまったのでなければ、なんとかなります。
これもまず、画像をご覧ください。
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見た目は一番きれい?

画像では再生化粧板をご覧いただきました。
(養生の有無に関わらず)こじ開けようとして滑り、化粧板に傷を付けてしまった場合は、自棄を起こさずに、化粧板だけの状態にします。
傷が付いて剥げてしまったのなら、また塗り直せばいいというわけです。
接着剤などが残っていれば無水エタノールで除去します。
表面に深い傷が付いてしまった場合でも、裏面が利用できます。

アルミの塗装はかなり面倒な作業になりますが、工程を示します。
1 両面を#400〜#600のサンドペーパーで丁寧にヤスリがけします。
2 化粧板をアルコールで洗浄、汚れ、油分などを完全に除去します。
3 #2000とか#4000の精密仕上げ用研磨フィルムで再び磨きます。
4 ピカピカになった化粧板をアルコールで洗浄、汚れ、油分などを完全に除去します。
5 非鉄金属用下塗スプレーをかけます(片面×2、計4回=2時間間隔でスプレーし、一晩置く)。
6 ブラック塗装をスプレーします(片面×3、計6回=1回あたりはごく薄く)。
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アルミには直接塗装できないので・・
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手頃な価格で塗膜が丈夫そうなのを選びましたが、よりいいのがあるかもしれません。

これでまた一日ほど放置すれば塗料は安定すると思います。
折角ここまで進めてきて、最後に剥げては泣くに泣けませんので、逸る気持を抑えて我慢、我慢です。
強力両面テープでネジに張り付け、晴れて完成です。

注意点としては、塗装の際にスプレーの風圧で飛ばさないようにすることです。
軽く薄っぺらなものなので、すぐに飛びます。
段ボールの上に置き、孔を針などで留めて各吹付けをするといいでしょう。
上で両面に塗装をするようにしたのは、塗り残した部分から剥げやすくなるだろうことを案じたためです。

画像の化粧板は、この方法で裏面に塗装をしたものです。かなり強めの引っ掻き傷が付いていたため、元の表面を使うのを諦めました。
ご覧の通り綺麗なものですが、肝心の強度もそれなりにあるのではないかと思います。
爪くらいなら擦っても剥げないようです。
実際にゴムを圧し当てて回してみましたが、塗装面はビクともしておりません。

3 なんで、こんな細かなことを気にしないとならないか
さて最後は、今回メインのモデルとなった<OM-2N>のように、化粧板そのものがなくなってしまっている場合の解決法です。
当然、剥がす際に化粧板を曲げたり、皺をつけてしまって利用できなくなった際の策でもあります。
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子供用ですね・・しかし、これ1枚で一体何枚の化粧板ができるのか・・透明でない方がいいかもしれません。
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これでも200枚・・念の為:厚さ0.3mm、直径14mmです。

冒頭で述べたように、OMが現役の時には、この化粧板は消耗部品として扱われていたのではないかと思う私です。
そこで、この「夏休み企画」に合せて自作してみました。
プラ板の塗装は簡単ですが、アルミの方は、切って円形を整えるのに少し手間がかかり、また塗装も前の項と同じ行程で行なう必要があります(画像はプラ板で拵えたもの)。
カメラのオリジナル性を重視するコレクターの方にはダメなことかもしれませんが、双方共に実用する上では何等問題がないものと思われるのであれば、積極的にやって行きたいものだというのが私の考えです。

別にどうということのない、アルミに黒い塗装をしただけの円形の板なのです。
代用できるモノもあるかもしれないと、私もザッと探してたところ「アルミカラーサークル」というものがあるのを見つけました。
ただ、残念なことに厚みはピッタリ適合しても、サイズが大きすぎました。
もっと真剣にあちこちを探せばあるかもしれませんね。

気を遣ってヘトヘトになるよりも、ベリッと剥いで、また新しいのを張り付ける方がどんなに楽か・・
個人で使用する数など知れたものですが、綺麗に簡単に円形に切ることができ、焼き付塗装などができる環境のある方は、製作して販売されればちょっとした小遣稼ぎが出来るかもしれません。
どなたかいらっしゃいませんか・・私だったら1枚2〜300円ならお金を出して買いたいですね。
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プラ板による化粧板・・これでもなかなかイケます?
by yy2828yy | 2010-07-23 23:57 | ヒト・モノ考 | Comments(0)