2013年 08月 17日
ストラップ考(2013)−後編
前回の話を繰り返すと、私は多くのストラップを「長さ80cm」に統一しております。
この長さは、<OM-4>付属のストラップを使う上で煮詰められていったのですが、「ストラップとは肩にかけるよりも左手に巻付けしっかりと固定するためのもの」という使い方をするようになって定まったともいえます。
結果的には当該ストラップでの調節可能範囲(約80〜115cm)の最短となりました。
ですから「ストラップはもっと長くして使う」という人には、今回の記事もほぼ無用となりましょうことはお断りしておきます。
=ボディに傷を付けたくないための泣く泣くの措置で...
ところで、このストラップは最広部と最狭部とに差があるのはご覧の通りです。
その差凡そ1cmですが、(アジャスト部と肩掛け部が別成型、別素材で組み合わされている太いモノによくあるようなタイプではなく)全体が同質同素材の一体モノです。
120cm余りの全長のうち、両端から幅10mmの部分が約30cmずつ続きます。
長さ調整のアジャスターもこの範囲を動くことになるのですが、この先は肩当用裏打が付いた最広部まで徐々に広がっていくため、アジャスターも入り込めなくなってしまうわけです。
そもそも、どんなストラップ(近頃の斜め掛け対応なんてモノは除外)でもさほどに長短があるものではありません。
1本でストレートなストラップならより幅広い(特に最短側の)調整も可能になるでしょうが、大抵はアジャスターの動く範囲は限られ、自ずと長さの調整にも限度が生じるわけです。
実は私が望む80cmは難しいのが現実であり、今まで紹介してきた「ごく当り前かつ必須」の状態にするのには相応の苦労を要することとなります。
現行のデジタル一眼レフに付属してくるストラップを例にとってご覧になればお分かりいただけると思います。
たとえタダで付属するモノだとはいえ、昔のことを想えば、現行デジタル一眼レフカメラ用ストラップはとても立派になりました。
決して皮肉からではなく、はじめて手にしたあのみすぼらしいモノと較べれば雲泥の差だと心から感じているほどなのです。
ただし、私(の使い方)にはもう合わないということです。
<E-SYSTEM>に基軸を移してしばらくの間は、これらを使いこなそうとあれこれ努めたものですが、やはりしっくりきませんでした。
第一の理由は、幅が広すぎて使い回しが悪すぎることでしょう。
デジタル一眼レフのボディとレンズの大きさと形状では、左手保持中心の使い方を諦めるにしても、撮影に没頭する際にはストラップを右手に巻き付けるくらいはしたいところ。
しかし幅広いストラップではゴワゴワ嵩張ってしまいます。
その上、大袈裟でハッキリいってかっこ悪い...。
第二の理由は、最短80cmはおろか85cmの調整も難しいモノばかりだということ。
これは本体同梱付属品に限ったことではなく、別売オプション品についても概ねいえることです。
先にいった「どんなストラップでもさほどに長短差はない」のは、その構造(拵え方)が殆ど変わらないからです。
つまり、たとえ多少幅の狭い別売ストラップに目を向けたところで、本体付属同梱品と構造はほぼ同じだということでもあります。
とまれ、妥協して使っているモノも含めての比較をまずはご覧いただきましょう。
一つは既におなじみの<OM-4>同梱品。
もう一つが<E-30>購入時のキャンペーンでいただいた一部革製のものですが、現行グッズとしてOLYMPUSから発売されている<CSS-S101L>あたりとほぼ同等と考えられます。
そして、「Nikon巻き」の本家としてご登場願った、これまた現行グッズの<クリアレザーストラップ>です。
特にご比較いただきたいのは、アジャスターと輪環がある部分の長短です。
<OM-4>付属のモノがダントツに長く、次いでOLYMPUS革、そしてNikonとなるのは一目瞭然でしょう。
で、どの状態が使い易いかというと、まさにここでの長い順となり、私としてはせめてOLYMPUS革くらいの長さは最低限欲しいところ。
ストラップの長さはいったん決めてしまうと頻繁に変えないものですが、ここが短か過ぎて余裕がないとストラップの太めの部分がカメラ本体に近くなり、手に巻き付けたり操作する際に自ずとゴワゴワ感に圧迫されるようになってしまうからです。
ただし、ご覧の状態は、各ストラップの構造そのもの、つまり、調整可能な部分がもともと短いからではなく、調整後の全長をなるべく短く(80cm程度)したいがために、私がアジャスト部の折り返し回数を増やしたり切り取ってしまった結果だということをお断りせねばなりません。
このことは、とりもなおさず、自身に適した長さのストラップが如何に少ないかの証になると思います。
そして、長さだけではなく、この部分の素材や質感、太さや厚みが「Nikon巻」の行方を左右します。
否、ストラップ部だけではなく、アジャスターと輪環の素材や大きさ、形状との兼ね合いが問題になるのです。
例えば、この本家本元Nikonのグッズを<F3>に取り付ける際、私はペンチの力を借りなければならないほどでした(それでも全体が長過ぎて大幅にカットしました)。
ストラップの滑りとボディへの傷付防止のためにプラスティック片のガードが付けられたNikonの吊環は、かねてから流石だと思わせる配慮の一つでした。
ところが、私のように余分な回数折り返しをする「Nikon巻」では、このガードが存外の支障となり兼ねないことが分ります。
また、ガードの問題をさておいても、ストラップとは一見幅が同じでも素材によるボリュームはかなり区々なものです。
たとえ同じ<OM-4>付属のストラップでも、ロットによる僅かな厚みや剛柔の差が時には深刻な問題を起します。
もともと私のするいわゆる「Nikon巻」は、かなり輪環にストレスを与えていることが画像でもお分かりでしょう。
四角い外観であるはずがかなりの樽型になっています。
普通なら2本分のスペースに3本、場合によっては4本を通すわけですから無理もありません。
しかもストラップ自体がギュウギュウと手に巻き付けられては、輪環も都度引っ張られたり摩擦されたりというのは想像に難くありません。
素材は大抵が柔らかめなので引っぱりや衝撃に対する多少の耐性はあるにしても、単なるプラスティックに内部から常にテンションをかけ、時折擦っていては...よってある日、実に呆気なくプツンと切れてしまうわけです。
この輪環については、かなり前に詳しく書いたのでご参照いただきたいと思います。
ただストラップを取り付けて使うだけなのに、当り前のものがなかなか当り前に使えないことをお分りいただけたでしょうか。
自身が都合のいいようにちょっと工夫をしたいだけなのに...。
かくして「輪環なんかに気兼ねなく使う」が私の達した結論です。
具体的には、<OM-4>付属ストラップオリジナルよりも内寸、外寸ともに少し大きめのNikonの輪環を流用しつつ切れたらすぐに交換すると。
端からこうすれば、オリジナルだって傷つけることなく保管しておけます。
なお近頃ではこれに加えて、大きめの中古カメラ店をこまめに覗くようにしています。
ストラップの輪環やアジャスター部だけを取り外して、一個あたり数十円で売っているのを漁り、適当なモノをピックアップするためです。
ストラップ自体は、恐らくはカメラ以上に頑丈なものでしょうからね。
=カメラ屋さんを通して輪環を注文すると、こんな具合で届くわけですが、まさに部品といった感じ
私とは普段の持ち方使い方も違うはずですが、不思議と共感を覚える事も多い上に刺激的ですらあります。
私もいわゆるニコン式で留めるのですが、理由は見た目と手首に巻いた際の納まりの良さです。ピロピロしてるのはどうもダメで、、、。
単なるヒモですが、されどストラップ。
あまり凝った事はしていませんが、これからもずっと悩んでいくテーマのような気がします。
私は胴が長いため、標準の90センチでも短いのです。というのも、タスキにかけるので。柔らかい革製で細身が好みなのですが、100センチ以上のものがなかなかなくて困っています。
違う素材を縫い付けてつないでいるとか、この記事を読むまでまったく意識していませんでした。
なにげなく使っていたストラップですが、意識しなくても「これ」が一番いいなーとぼんやり思っていた理由がわかりました。ちなみにこれがOM4用であるという事も知りませんでした。
ていねいな記事でたいへん参考になりました。ありがとうございます。
以前にも書いたことが多かったのですが、自らも再確認する意味でも取り上げてみました。
要するに自分の心身をモノに合わせるわけですから、何処までいっても完璧はないのでしょうね。
私もピロピロはダメですし、ほんとうは傷防止の革もあまり好きではないのですが...
肩にかけるクセがつくとアイカップを落としてなくしたりしがちです。
よって私には鞄が常に必要になります。
ほんとうはリストストラップの方がいいのかも知れませんが、さすがにレンズ交換の際には不便ですからね...。
ごく細いものですが、長さ固定でジャスト100cmというのを知ってますが...
お気に召すかどうかは別にして、番外編でまたご紹介します。
ちょうど当方も見直しのいい機会となりました。
特に輪環のことはもっと大きな問題として各メーカーが取り組むべきことだと思います。
ストラップなど他所に拵えてもらっているのがほとんどでしょうが、中にはほんとうに自社のカメラに付けることを考えているのか、というのもありますし...。