鞄の中身

DUEL 夕陽の‥

前回の色の違いにはやはり驚かれた方が多かったようです。
フィルムを色々変えてみるともっと多様な傾向が窺えるでしょう。
より厳密な方法で試せば、ずっと正確なことも看て取れるはずです。
となると、機材とフィルムとのベストな組合せ、もしくは使用者の好みというものも見えてくるかと思います。
こうしたことは、まさに「急がば回れ」というべきであり、慎重に綿密に、そして几帳面にやっていけば、目的も得やすくなりましょう。
ただ、私にはそんな手堅さや根気がありません。

自己弁護のつもりはありませんが、決してテストを目的にカメラを持ち出しているわけではなく、実用の中で余裕があれば比較を想いつつ撮った、というのが実際です。
少し条件が異なったり、設定を違えて撮ったモノも敢えて挙げさせていただくのもその証で、即ち私の限界でもあります。
でも、フィルム機材を多くお持ちで、もっと几帳面に比較することのできる方は大勢いらっしゃるはず。
そんな方々に願いを託しつつ、今回で残りの3場面をご紹介して自分なりのまとめとさせていただきます。



最初は中距離的なカットを。
ところが、これはちょっとNikkorに悪いことをしてしまいました。
咄嗟に撮ろうとしてピントリングを逆に回してしまったのでしょう。
何も慌てて撮ることのない被写体なのに、手前の葉っぱに合わせるつもりのピントが奥の幹に合った状態で撮ってしまっています。
といって、撮ったのはこれっきりなので、色合の違いだけでもご覧いただくことにしました。
黄色の出方がそのまま空と葉の発色に関係し、全体の差異に繋がっています。
このことと相関するのでしょう、Zuikoの方が明るめとなる傾向はここでも顕かです。
OM-1/ Zuiko28mm 1:2.0
f4 1/250 Kodak ProFoto XL100

F/ Ai Nikkor 28mm 1:2.0
f4 1/250 Kodak ProFoto XL100

近所にある公園の桜の樹の下で、主題の落葉にはかなり近寄っています。
しかし、これも単純な比較にはならない例です。
そもそも主題との距離が少し違う上に、絞り値も1段違います。
また露出値にも1段以上の差があります。
ご覧の通り、Zuikoの方は<OM-2N>のAUTOで撮影。
明部と暗部のバランス、バックからの光を考えて、+1段の補正をしました。
お手本のような適正露出かとは思いますが、面白みに欠けはしないでしょうか。
撮影後すぐにそんな想像ができたので、<Nikon F>ではハイライトに重きを置き、敢えてアンダー気味の設定で撮ってみたものです。
レンズの性格を味わう上でも、特にNikkorはこの方がいいように思うのですが。
もちろん、Zuikoでも同様に撮り直せば面白い結果が見られたかも知れませんが、陽が沈み始めている時刻、1分の違いで状況は大きく変化します‥
‥いや、実は、ちょっと足場の悪いところでおかしな体勢で踏ん張ったため息が切れ、気力が続かなかったというのがお恥ずかしい舞台裏です。
OM-2N/ Zuiko28mm 1:2.0
f4 Auto +1EV Kodak ProFoto XL100

F/ Ai Nikkor 28mm 1:2.0
f2.8 1/250 Kodak ProFoto XL100

そして最後が「予告編」の本編、かなり厳しい逆光状態での撮影です。
強い風が草木を揺らし、背景の樹の枝葉に太陽が見え隠れするような状況でした。
よって、厳密なことをいえば、逆光の入り方も必ずしも一定ではありません。
ただ、こういう状況でZuikoではどうなるのかは、ファインダーを覗かなくても私には察しがつきます。
少なくともZuikoによる画像はほぼ「想い通り」が得られたといえるでしょう。

風が強いこともあり、手を翳してのハロ切りは行いませんでした。
Zuikoでは画面下部に赤いハレーションの弧がハッキリと認められます。
それでも、その画面を損なうほどの甚だしさにも関わらず、暗部の描写やシマリ具合はさほど低下していません。
一方のNikkorでは画面左上部にハレーションが発生していますが、そんなに目立つものではありません。
ところが、これが暗部の描写やシマリを低下させていることは窺えます。

1枚の写真として見れば、Nikkorの方が破綻を感じさせないのは明白で、まさに「予告編通り」の両者の結果だといえるでしょう。
ただ、ここでも細かな部分の描写でのZuikoに分が認められます。
これを基準とすれば、前回にも述べたNikkorの「明解な描写」は「おおまか」ともいえなくもありません。
こういうと、Nikkorに対し、にわかにマイナスイメージを抱く人がいるかも知れませんね。
しかしさにあらず、このキャラクターはより素直なバックのボケにも通じているのではないでしょうか。
OM-1/ Zuiko28mm 1:2.0
開放 1/500 Kodak ProFoto XL100

F/ Ai Nikkor 28mm 1:2.0
開放 1/500 Kodak ProFoto XL100



長々と書いてきましたが、敢えて優劣を付ける気は端からない‥否、そんなことは私にはできません。
私としてはZuikoの明暗の出方に好ましさを感じ、愛着していますが、といって赤い大きな弧にはご勘弁願いたいし、ボケの出方でも断然Nikkorを支持したくなります。

結局斯様に個性を味わう方がずっと愉しく、フィルムならではの世界だということを、改めて思い知った次第です。
ピクセル等倍まで拡大して較べたり、数値で優劣を決めるようなことを望む向きには、それこそ「デジタルがある」と嘯いておくことにいたします。
尤も、デジタルの目標が如何にあろうが、足算ばかりで成り立つような一概な判断を許さない状況に未だあるとは思いますが。
とまれ、「いいとこ採り」などない、むしろ「足引ゼロ」の凸凹(=制約)の中で取捨選択に藻掻くからこそ、かくなる他愛のないことに没頭できるのだというのが私の信じているところです。
by yy2828yy | 2012-01-13 19:37 | Film | Trackback | Comments(2)
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Commented by a-path at 2012-01-14 20:58
こんばんは。 
面白い比較ですね。
前々回の記事から一貫して、Nikkorには仰るようなすっきりとした明快さを感じました。
画面全体が標準から中望遠を思わせるようなまとまり方で。

でも、どちらかと言えば贔屓目もあってか、Zuikoの方に惹かれます…
暗部の出方がいいですね、締まるべきところが締まっていますし。
最後の比較でのボケも嫌いではありません。
煩雑過ぎない範囲に収まっていると思います。
何というか、美化し過ぎないような良さは伝統なんでしょうね。
Commented by yy2828yy at 2012-01-15 08:17
a-pathさん、
こんな具合に改めて較べるのは初めてなのですが、昔からZuikoは他所に較べて鮮やかさに欠け、地味だという印象を持っていました。
私がKodachromeに耽溺したのも、このこととは無縁でないと思います。

このスキャンは48bitカラー、2,400dpiにて取り込んでいます。
そのままの画像では色合によるクッキリ感が乏しい分、Zuikoはかなりモヤッとしています。
ところが拡大するとかなり細かく解析しているのです。
その辺りがどれだけ通じたか少し心許ないですが、ご感想いただき嬉しく思います。
今、私がしているのはZuiko28mm用のフードの再検討です。
ソリューションの一つになりそうなら、また紹介させていただくつもりです。
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