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鞄の中身 かばん の なかみ : 出かける時は、どうも手ぶらじゃダメ…そんな私の鞄には…?

スッキリ!

ここのところ<PEN-F(V)>、<Nikon F>を使っていて小気味良さを得るのは、「余分なモノがない」からでしょう。
特に露出計のないのがこんなに心地いいとは。
自身の感度だけを頼りに、絞りとシャッター速度を設定する充足感…といえば、如何にも特別なことに想うかも知れませんが、単なる思い込みだと敢えていわせていただきます。
電子任せがあまりに当前になってしまっている日々による錯覚だともいえましょう。
露出の尺度なんて一度身に付けば何等大したものでもありません。
ただ、こうすることにより、道具たるカメラとの一体感は一層深まるから、得るものはとても大きいはずです。
ファインダーを覗きシャッターを切った時、自身の眼が受ける光と影が如何に気持のいいものかを反芻するように味わうのです。
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OM-1/ Zuiko28mm 1:2.0
f8 1/125 FUJICOLOR100

もちろん、<OM-1(N)>を使っていても、やっていることは全く同じで、露出(絞りとシャッター速度)は被写体にカメラを向ける前に決めつけて、設定済です。
ただ、“彼女”にはTTLの測光機構(露出計)が入っており、その測定値を示す指針が、僅かながらでもファインダー内に食い込むように配置されています。
冒頭の2機種による快感が徐々に当り前になりつつある今、このことが何とも惜しく、ひいては無駄なことに思えてなりません。
基本的には露出計を無視する私でも、表示部があるのとないのとでは違います。
ファインダーの視野を邪魔するしないの問題よりも、露出計の存在を象徴するという意味において、やはり今となってはない方が好ましいのです。

私自身はお世話になったことはありませんが、ふと、自転車の補助輪のことを想います。
尤も、補助輪は不要になると除去できますが、TTLの露出計の場合、そうはいきませません。
「付いたままの補助輪」なんて、鬱陶しく厄介な存在とでしかないでしょう。

「露出計なんて要らない」といい切ってしまうつもりは毛頭ありません。
現に、私が最も愛用しているカメラ<OM-2N>は、電子制御の自動露出が基本です。
だから私も、<OM-2N>で撮る際には、メインスイッチは九分九厘「AUTO」の位置に固定させています。
といって、そのままAutoに任せることはほとんどなく、半数以上は露出補正ダイヤルを弄っているのではないでしょうか。
この理由については以前にも書きましたが、紛うことなく「露出計に頼っている」からなんだと思います。
つまり、露出計を利用するのなら、表示された値を自分で設定するのではなく、設定そのものまでもやって欲しいわけです。
その上ですべきことがあるとすれば、自分なりに加減する…このやり方に合う理想の一つが<OM-2N>なのです。

ただ、殆ど全てのMF一眼レフカメラはもう何十年も前の非現行品であり、修理からも見放されたような存在という事実はとても重いものです。
「在るモノを在るように使う」は、マスプロダクトである以上、何処かで甘受しなければならないところだと人一倍弁えているつもりですが、どんなに愛しても、<OM-2>などの自動露出、電子シャッターが使えなくなってしまう日が何時かは訪れるという覚悟は持っていなければなりません。
一方、機械式シャッターの<OM-1>なら、もっと…恐らく私が死んでからも作動し続ける可能性はずっと高くなるでしょう。
ただそんな時にでも「一部機能が壊れているけど動く」というのでは引っ掛かります。
それが単に露出計の問題だとしたら…せっかくの非電子制御なのに、ただ一つの電気仕掛けの部品のせいで「不完全」とされるとしたら、私には忍びないことです。

実際、<OM-1>を手にすると、前述のように「頼りもしない露出計」の作動を確かめている自分に気付くことがよくあります。
半ば恐る恐る壊れていないかを確かめては安堵する…こんな鬱陶しくも厄介なことからフリーになれたらどんなにかいいでしょう。
<PEN-F>や<F>には、まさにそんな「夢の環境」がごく自然に備わっているわけです。


まぁ、こんなことはいっても仕方がなく、今さらいう方がアホというしかないことで、基より、こんなことで<OM-1>がイヤになるのでも、使わなくなるのでもありません。
にも関わらずここまで書いてきたのは、「災いを転じて福となす」といいましょうか、ある自棄っぱちのような考えが浮かび、それを実行したからです。
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iPhone4/ 3.85mm 1:2.4

些かの歪曲等についてはご勘弁いただくとして、このファインダー・ビューの持主は、<OM-1>です。
<M-1>と共通の部分が多いごく初期のボディで、この後の一般的<OM-1>よりもスムーズな巻き上げ感とレリーズ感からもそのことがうかがえます。
各機能は何等問題なく快調なのに、出番がほとんどなく燻っていたのは、残念なことに露出計が壊れていたからです。
初期型の魅力はいろいろあるので、修理ができる人なら他のボディから露出計を移植するところでしょう。
ただ、そんなスキルのない私は、しかし、何時かくるかも知れないそんな日のことを根拠なく想っては1年あまりも大事にしまっておりました。
そしてこのたび、ようやく自身の矛盾に気付いたのでした。
そう、“彼女”はちっとも「不完全」だ「ジャンク」だと扱われる存在ではなかったのです…。

…かくして<PEN-F>や<F>と並ぶ、自由で融通無碍な境地を提供してくれるに至った“彼女”には、ファインダー視野枠をすっきりさせただけでなく、<MINOLTA α-7000>用スクリーンを取り付けました。
これで、F3.5クラスのレンズでも楽々ピント合わせができます。
よくいわれる「ASA感度ずらしによる露出計の調整」なども不要ですから。

「有することは、無いことに必ずしも勝るとは限らない」というべき例かも知れませんが、未だに煩悩の淵にある私は、この逆も真だと思っています。
よって、今ある「完全な」<OM-1>たちの露出計を取り去り、表示枠を切り取るような蛮事を敢行する気はサラサラありません。

ともかく、「不完全」とされがちなこの<OM-1>は、「<OM-2>からAEをマイナスした」という些か不名誉なその位置付からもフリーになれた希有な個体だといえはしないでしょうか。
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OM-1/ ZuikoMacro50mm 1:2.0
f4 1/500 FUJICOLOR100

Commented by karts2 at 2011-05-24 21:36
こんばんは
OM-1に<MINOLTA α-7000>用スクリーン取り付け可能なんですね。勉強になります。手元のM-1は露出計が壊れてますので明るいスクリーンに換えてみようと思いました。
Commented by yy2828yy at 2011-05-24 22:30
kartsさん、
今になってみれば、機械式シャッターのカメラは電気的なモノからフリーであって欲しかったと思います。
もちろん、懸命に露出計を入れ込むための努力には敬意を払いますが…。

α-7000は500円くらいでも入手できますから、スクリーンだけが綺麗なのをお探しになれば…
以前、OM-4に取り付けた話は書いております。
http://omac.exblog.jp/14129884/
ご参考までに。
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by yy2828yy | 2011-05-22 19:55 | Film | Comments(2)