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鞄の中身 かばん の なかみ : 出かける時は、どうも手ぶらじゃダメ…そんな私の鞄には…?

厳密とか、精度とか…

理数科系がからっきしダメな私が、曖昧さを赦さない数学というものを思い知ったのは、中学生の頃でした。
いわゆる複数の線や図形の相似を証明するような問題で、定規や分度器が使えない、なんとも歯がゆい想いをしたことが忘れられません。
いうまでもなく、数学の世界では、そもそも定規や分度器の目盛、そして計測し見る人の眼など、信用ならないモノとされるわけです。
モノを論理的に考える姿勢を身に付けるという意味において、若い頃に数学を学ぶことの意義は大いにあったと、遅きに失した悔恨の念を抱くばかりです。



厳密とか、精度とか…_e0101258_20372965.jpg
OM-2N/ ZuikoMacro50mm 1:2.0
f8 Auto FUJICOLOR100

ただ、実生活で役に立つのは、定規や分度器であることの方が多いでしょう。
同時に「表示の数値には誤差がある」のは、当り前のことでもあるわけです。
計測するための器具にも、厳密にいえば誤差があるわけですから、それを基に拵えられるモノにも誤差が生じるのは当然です。
かくして、いわゆる「許容誤差」というのが設けられるわけです。
写真の世界でも、精密機械たるカメラやレンズにもこの誤差は付きものです。
クォーツ制御が出る前には、シャッター速度が1/1000でも1/700程度しか出ないカメラはよくあったし、そもそもフィルム感度に1/3EV程度の誤差がありました。
レンズの表示焦点距離にも5%程度の誤差は認められていると聞きます。
つまり「A社の100mmの方がB社の105mmよりも実際の焦点距離は長い」とか「50mmと55mmのレンズがあるがどっちもほぼ同じ52.5mm程度」というケースが生じ得るということになります。
消費税程度の差を大きいと感じるか否かは人それぞれにしても、これまでさしたる文句を耳にしたことはありませんでした。

ところが先だって、KUZUさんのところで異な話が。
マネシタのm4/3用単焦点<14mm F2.5>によるイメージが「35mm判換算の28mmではなく、31mm程度の画角になってしまう」というのです。
私にはにわかに意味が分からず、疑問を呈したら、驚くべき返答をいただきました。
相当に歪曲収差が強いレンズで、.jpg生成時に強力な補正をかけるため、結果として画角が狭まってしまう、ということらしいです。
このレンズがもともと正味である14mmとどれだけの誤差があるかは不明ですが(13.3〜14.7mmの間になければならないはず)、結果は許容範囲とされる5%を明らかに大きくはみ出しています。
否、結果だけではなく、一眼レフに非ざるEVILカメラでは、撮影時に眼にする時点で既に画角が狭まっていることにもなりますね。
“換算28mmのつもり”が31mmになっていては、使い慣れた者にとって違和感をもたらすだろう事は容易に想像が付きます。
実際、KUZUさんも我慢ならず、購入後早々に手放されたようですが、ちょっと問題だと感じた次第です。

私には、「あげる」といわれても使う気のないようなシステムの話ではあります。
OLYMPUSがノソノソしている間に、マネシタは単焦点を揃える姿勢を見せている…との評価も「所詮は信用できない会社が馬脚を表した」との冷淡な見方すらできる私です。
ただ、こんなことが業界に蔓延するようであれば、由々しき問題でしょう。
かつては得てしてズームで大きくなりがちであった焦点距離表示との誤差(短焦点側は長めに、長焦点側は短めに)が、単焦点で却って大きくなる、なんてことでは笑えません。
ややこしいのは、ことが収差補正に関わる問題だからという気がします。
ソフト的な収差補正は極力やらない方がいい、というのは私の考えですが、一度低い方に流れ始めていることでもあります。
そういえば、近頃換算24mmからの標準ズームや、換算24mmのパンケーキとかが出てきているのは、収差補正で削られることを計算にいれてのこと…というのは穿った見方でしょうか。
厳密とか、精度とか…_e0101258_2037159.jpg
OM-2N/ Zuiko28mm 1:2.0
f4 Auto FUJICOLOR100

今までの話とは全く関係ありませんが、数値表示ついでにもう一つ。
<RICOH GXR>のシステムを羨望の眼で見てしまう私も、近頃、大いに苦々しい思いで眼にすることがあります。
ずばり、<28mm F2.5>とか<50mm F2.5>とだけいって澄ましているのは止めていただきたい、と。
それぞれちゃんと「35mm判換算」を付けて表すべきことではないでしょうか。
こういうとすぐに「使っている者には関係なく、分かりやすい表示の方がいい」なんて言い種で混ぜ返そうとする輩が少なくないようです。
もちろん、そう思いながら個人が使う分には「どうぞご勝手に」です。
ただ、メーカーだからこそ「分かりやすい」ということだけで一部のユーザーに迎合するようなことがあってはならない、と申し上げたいのです。
ユーザーの大半が「全てのフォーマットにおける焦点距離表示は、35mm判での換算表示に統一する」ようになったとしても、メーカーだけは頑として従前の姿勢を貫くべきです。
「マイクロ一眼」の件にしてもそうですが、そんな厳密な姿勢は、ユーザーが抱くであろうメーカーやその製品精度への信頼とは、決して無縁でないと私は信じているのですが。
厳密とか、精度とか…_e0101258_2037295.jpg
OM-2N/ Zuiko28mm 1:2.0
f4 Auto +2/3EV FUJICOLOR100

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by yy2828yy | 2010-12-14 21:02 | Film | Comments(0)