鞄の中身

あるオマージュ

この時期になると、何処ででも見かける花、ヒナゲシ。
花が怖いという私も、何故かこの花を見ると撮りたくなります。なるほど、オレンジとグリーンという補色の関係を一身で体現しているのは眼にも心地よいものです。
でも、私の中でこの花と写真や撮影が直結するようになったのは、あるネイチャーフォトグラファーの業績によります。
そのフォトグラファーとは、故・木原和人氏(1947-1987)です。



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E-3/ ZD11-22mm 1:2.8-3.5
F: 22mm 絞り優先AE: f3.5 -0.7EV

木原和人氏はネイチャーフォトという分野を一躍ポピュラーにしたことで知られます。もちろん、氏以前にも自然の生物や景観を撮るジャンルはありましたが、概ねが記録性を重視したもので、表現的な要素には乏しいものでした。
木原氏は敢えてマクロレンズの絞りを大きく開けて被写体に迫り、また反射望遠レンズのリングボケすら積極的に利用して作画しました。こうやって、虫や花をあたかもポートレートのように叙情的に撮るスタイルは、それまでの自然写真と一線を画する新感覚を有しており、その抒情性は瞬く間に一世を風靡することになったのです。
今日でもネイチャーフォトは人気ある撮影ジャンルの一つですが、多くの人が撮ったモノの中に、氏の表現スタイルが見出される例は少なくありません。
独自の境地を拓き、一般に広め、まさにこれから・・という時に氏は亡くなりました。僅か40歳だったということに、重ねて愕然とさせられたものです。

もちろん、氏の作品に表出する抒情性は、緻密な自然観照に裏打ちされてこそのものです。しかし、爽やかで色鮮やかに表現された虫や花は飽くまでも身近で明解であり、われわれが向き合おうとする際のハードルを一気に下げたように思います。つまり、「木原和人のヒナゲシ」は、「あんな風に撮ってみたい」という想いを喚起するだけでなく、実際にそう実行させるような象徴だったのです。
ふと、こんな偶然を想います・・明後日(21日)の氏の誕生日、そして命日の5月9日とは、ちょうどヒナゲシの時期にかぶるんですね。
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E-3/ ZD50mm 1:2.0
絞り優先AE: 開放 -0.7EV
by yy2828yy | 2010-04-19 08:12 | 写真/美術 | Comments(8)
Commented by pretty-bacchus at 2010-04-19 08:39
素敵なお話しをありがとうございました。
Commented by yy2828yy at 2010-04-19 08:47
pretty-bacchusさん、
いえ、お粗末さまで・・
そちらは羨ましい春の雪とか・・でも、そんな状態ではヒナゲシはまだまだですね。
今年もヒナゲシ、撮ってみてくださいね。
Commented by aki-aky2 at 2010-04-19 22:57
2枚目素敵ですね。
いつものyy2828yyさんとは違った感じですが木原さんのイメージというなら納得です。
当時のOM使いで知らない人はいないと思います。
かくいう私も少なからず影響を受けた一人ですが。。
Commented by 番頭 at 2010-04-19 23:14 x
オリスタ・・・無償化されるみたいですよね。

以前Mac版もWin版も購入した身からすると、何だか解せ
ない感じ。今までお金払わせておいて、急に無償化と言わ
れても何だか違和感が・・・。
Commented by M2_pict at 2010-04-20 02:01
こんばんは。
毎年拝見させていただく記事ですが、今年も見事なイメージが添えられていると思います。
そして私も今年は、後刻、参加させていただこうと思います。
Commented by yy2828yy at 2010-04-20 06:49
aki-akyさん、
ありがとうございます。
ホントにどこでも咲いているので、見つけるのは楽ですが、綺麗な個体、そして群生の具合を考えると、なかなか・・
何よりも、花の寿命自体がとても短いので、見つけるとすぐに撮らないとダメですね。
桜と同じで、年に一度は撮る被写体の一つになっているようです。
Commented by yy2828yy at 2010-04-20 06:53
番頭さん、
もう“その会社”のすることに大抵は呆れなくなったつもりですが、相変らずイライラさせられますね。
私もユーザーではありますが、あまり使ってもおりません(階層をおかしな具合に表示するのがダサイ)。
おかしなカメラの本のついでに注目を浴びたから・・という程度の理由でしょうが、既存の利用者を蔑ろにする何時もの姿勢でもありましょう。
Commented by yy2828yy at 2010-04-20 06:57
M2さん、
ここ数年、ミニサイズのヤツを見ることが増えました。
実はこれも小ぶりのタイプです。
こんなの1枚で変になれなれしくされても、木原氏も困ってしまわれるでしょうが、まぁ年に一度ということでご容赦を・・
私のチョロ撮りとは違うM2節を愉しみにお待ちしております。